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東京高等裁判所 昭和25年(う)140号 判決

被告人

安井清

外一名

主文

本件控訴はいずれも棄却する。

理由

弁護人清水稔、同古屋福丘控訴趣意第一点について。

原判決挙示の証拠によれば、被告人等が共謀の上判示の如く常習として賭博行為を実行した事実は、之を認め得る。記録を精査しても右認定を覆すに足る証拠はない。而も原判決挙示の証拠中被告人等に対する検察事務官並に司法警察員作成の各供述調書の如きは、被告人等に於て原審公判に於て之を証拠とすることに同意した証拠書類であり、原審弁護人(控訴審における弁護人と同一人)またこれを証拠とすることに異議がない旨答えたことは記録上明らかにされている。よつてかかる証拠書類に対し、その供述内容が任意にされたものでないから証拠とすることができないと主張するが如きは許容さるべきではない。元来刑事訴訟法第三百二十六條の規定は証拠書類に対し、証拠能力を附与するか否かを当事者の意見にまかす趣旨であつて、当事者の同意があつた場合は裁判所としては、単に供述のされた時の状況を考慮し相当と認め得る限り、之を証拠とすることができるので、この場合には右供述が任意にされたか否かを調査する必要すらないのである。故に原審が右被告人等の供述調書を採証の用に供したのは相当であるという外はない。

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